上橋菜穂子作品が小学生の頃から現在に至るまでずっと好きです。
これって結構すごいこと。
小学生の頃ドはまりした作品でも、大人になってから読むと「こんなもんだったっけ」となることも多い中、ずっとコンスタントに好きでい続けられる作家って、上橋菜穂子作品以外にはないかもしれない。
それは、上橋菜穂子作品がまさに老若男女・時代を超えて楽しめるから、だろう。
今回は、そんな上橋菜穂子作品の魅力と、私が勝手につけたランキング(おすすめ作品)を紹介する。
もにか御託はいいから早くおすすめ作品見せろという人はここから記事後半に飛んでください!
上橋菜穂子の長編作品はこの4つ!


上橋菜穂子とは?=児童文学・ファンタジー作家兼文化人類学者
上橋菜穂子 先生はこんな人!
- 日本の児童文学作家&文化人類学者
- デビュー作は1989年の『精霊の木』
- 国際アンデルセン賞(2014年)受賞
- 文化人類学では、オーストラリアのアボリジニが研究対象
- 小説では複数巻からなるシリーズものがほとんど
- 小説以外でもエッセイ等多数執筆
上橋菜穂子作品の魅力


上橋菜穂子作品の魅力って?



上橋菜穂子作品って児童書ファンタジーのイメージがあるけど、何がそんなにすごいの?
上橋菜穂子作品の魅力を一言でまとめると「大人も楽しめるファンタジー」であることだと思う。上橋菜穂子作品は一応、児童文学とされているけど、「大人も」っていうか「大人こそ」楽しめる。でももちろん、「子ども」も楽しめる。



子ども向けだから、と思って書いてないな~と随所で感じる
- 地に足の着いた世界観
- 主人公の平均年齢が高い
- 人間と自然のあり方
魅力①地に足の着いた世界観
ファンタジーには2種類ある。完全異世界が舞台のハイファンタジーと現代世界とつながりがあるローファンタジーだ。



ロンドン出身のハリーポッターはローファンタジー、指輪物語はハイファンタジーだね。
上橋菜穂子作品はハイファンタジーに属する。なので舞台は完全に異世界なんだけど、その作り込みが徹底的なのだ。
文化人類学は、その土地に暮らしている人々の衣食住、宗教、文化、宗教、など生活様式全般を研究する学問なんだけど、まさにそれが活かされまくっている。
下町に暮らしている人々の生活や食べ物のリアルなこと…!
「守り人シリーズ」に出てきた数々の料理を再現した「バルサの食卓」という本すら出ている。


| タイトル | バルサの食卓 |
| 作者 | 上橋菜穂子・チーム北海道 |
バルサとチャグムが熱々をかきこんだ〈ノギ屋の鳥飯〉、タンダが腕によりをかけた〈山菜鍋〉、寒い夜に小夜と小春丸が食べた〈胡桃餅〉、エリンが母と最後に食べた猪肉料理……上橋作品に登場する料理は、どれもメチャクチャおいしそうです。いずれも達人の「チーム北海道」が、手近な食材と人一倍の熱意をもって、物語の味の再現を試みました。夢のレシピを、さあ、どうぞ召し上がれ。



小学生の頃「精霊の守り人」を読んだ私は、どっか他の国が舞台なのかと思ったよね…
(挿絵の雰囲気からなんとなく韓国あたりなのかなぁとか)
何でもありな魔法の世界は好きではないひねくれた人へ
私のことだけど笑。
ファンタジーは大好きだけど、呪文を唱えたらさくっと魔法が使えるファンタジーは好きじゃないんだよ。
だってなんでもありじゃん。私が上橋菜穂子作品好きなのは、ファンタジーの文脈でありながら、やっていることは泥臭いのが好きなんだ。
この傾向は、新しい作品のほうが顕著になってる感じする。
例えば、本屋大賞受賞した「鹿の王」では、ある病気が流行ってそれを解決する話なんだけど、ファンタジーの世界でありながら、仮説と検証を繰り返しながら原因を探っていくんだよね。
主人公の平均年齢が高い!


まず、代表作である「守り人シリーズ」の主人公はバルサという30歳のおばさんである。(なんならシリーズ最終巻では40歳近くなる)
児童文学のセオリーとして、少年少女が読みやすいように主人公の年齢も10代というのが定番だと思うが、ガン無視である。でも、それが当時小学生の頃の自分からすると新鮮で、バルサのカッコよさにしびれた。
で、30後半のおばさんになった今ですらバルサのカッコよさの虜である。
さらに「獣の奏者」のエリンも最初こそ10代の少女だったが、作中で年を重ねて子ども産むし、「鹿の王」の主人公ヴァンは妻子持ちのおっさんだ。
主人公の年齢が高い=面白い、に必ずつながるわけではないけど、大人にとっても読みやすいことは間違いない。
結構な割合で主人公には、守るべきものがあるんだけど、親になってから読むと子どもの頃読んだときとは全然違う感情持つよね…


魅力③人間と自然のあり方
上橋菜穂子作品の人間と自然のありかたの考え方が好きだ。
人間も、人間を取り巻く環境(自然や動植物の世界)の一員に過ぎないっていう。
これは、上橋菜穂子作品全般を通じて、初期作品から最新作まで、形を変えて脈脈と続いていると感じる。
植物や虫の生態と香りをテーマにした「香君」なんか、物語の設定自体がまさにそう。
主人公のアイシャは、人並みはずれた嗅覚を持ち、植物や無視など、人間以外の生き物の世界をのぞきみることができる。それと反する勢力として、上橋菜穂子作品には高確率で自然を支配・制御しようとするやつらが出てきたりもするね。
上橋菜穂子|作品おすすめ5選・読む順番



上橋菜穂子作品が面白そうなことはわかったよ。
じゃあ、どれがおすすめ?どれから読むのがいい?



結論、シリーズ長編「守り人シリーズ」「獣の奏者」「鹿の王」「香君」と、1巻完結の「狐笛のかなた」は全部面白いです
さて、上橋菜穂子作品のおすすめだけど、エッセイなどを除く物語に絞って、さらにシリーズを1作品と考えると、そこまで数がない。代表的なシリーズ長編が4つ、そして1巻完結の長編3つだ。
さらに後者のうち2つ、デビュー作とそれに続く「月の森に、カミよ眠れ」「精霊の木」はまだ粗削りということもあり、やや魅力に欠ける。
(いや、充分これも面白いんだけどね…!)他の上橋菜穂子作品を優先して読んだほうが良い。
それ以外の、シリーズ長編が4つ「守り人シリーズ」「獣の奏者」「鹿の王」「香君」と、残る1巻完結の「狐笛のかなた」は全部面白いので、ぶっちゃけどれから読んでも外れないです!なので、これ以降のおすすめランキングはあまり意味をなさないかもだけど…
- 守り人シリーズ(全10巻・外伝2巻・関連図書有)
- 獣の奏者シリーズ(全4巻+外伝1巻)
- 狐笛のかなた(1巻完結)
- 鹿の王(全4巻)
- 香君(全4巻)
- 【番外編】神の蝶、舞う果て 2026年1月新刊出る…!
※巻数は文庫本を基準にしています(単行本と巻数が異なるよ)
【第1位】守り人シリーズ
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未読&ファンタジーに抵抗ない人は、今すぐ読んでくれ。
- とにかく主人公バルサがカッコいい。
- 第1巻の「精霊の守り人」でストーリーが完結する
- と思っていたら続く第2巻の「闇の守り人」の完成度やばい
- 他作品に比べて、全体のストーリーが理解しやすい
- チャグムの成長具合に涙する
- バルサとタンダの恋模様が気になりすぎる
全10巻の長編ファンタジー!歴史の表の主人公チャグムと、裏の主人公バルサのストーリーが交差する。最終的には4国が絡む壮大なストーリーになっていくが、序盤は1巻ごとに1つの国にフォーカスしてくれるため、大変理解しやすい。(『鹿の王』なんかは国同士の政治背景や民族云々が一気に出てくるので、最初ちょっと理解しにくかったりする)
さらに、1巻目の『精霊の守り人』はそれだけでストーリー完結&主要人物全員出てくるので、「上橋菜穂子作品との相性を見てみたい」という人にはぴったりすぎるのだ。面白かったらさらに2巻目の『闇の守り人』で、「え、これって児童書?」と驚くがいい。そこまで来たらもう安心(?)、守り人シリーズにどっぷり浸かろう。
「闇の守り人」は多分守り人シリーズの中でも1番人気だと思う。私も一番好きだ。
Audibleとしての「守り人シリーズ」
めちゃくちゃ良いです。外伝含めて全部Audible聞き放題対象だから!最初にAudible契約しようとしたとき、第1巻「精霊の守り人」の冒頭聴いて決めました。守り人シリーズは、アニメ等メディアミックスされまくってるけど、Audible版のバルサが一番イメージに近いと思う。全部聴き終わったとき、「守り人」ロスになること間違いなしですよ…


| タイトル | 3.夢の守り人 |
| 再生時間 | 7 時間 32 分 |


| タイトル | 8.天と地の守り人 第一部 |
| 再生時間 | 7 時間 42 分 |


| タイトル | 炎路を行く者 |
| 再生時間 | 6 時間 1 分 |



ちなみに、単行本・文庫本・ソフトカバーと色々バージョンが出ているが、やはり二木さん(外伝は佐竹さん)挿絵の単行本バージョンが一番重厚・幻想的で、守り人シリーズの印象にあっていると思う!Audible版の表紙も単行本基準で地味に嬉しい…!
【第3位】狐笛のかなた


| タイトル | 狐笛のかなた |
| 作者 | 上橋菜穂子 |
小夜は12歳。人の心が聞こえる〈聞き耳〉の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の〈あわい〉に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる……愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。
上橋菜穂子が好きな人に!おすすめの本



上橋菜穂子作品、全部読んじまったぜ…
同じような系統のおすすめ小説は?



紹介します!上橋菜穂子作品が好き、ということなので全体的にシリーズもの・長編が多いです笑。いいよね…!骨太ファンタジー。
- 荻原規子の各種作品(特に勾玉シリーズ)
- 小野不由美の「十二国記シリーズ」
- 貴志祐介の「新世界より」
空色勾玉/荻原規子
どんな話?
〈輝〉と〈闇〉の氏族が激しく争う日本神話の世界。
少女狭也(さや)は自分が闇の巫女であることを知る。憧れていた月代王の輝の宮に連れていかれた狭也は、そこで少年稚羽矢(ちはや)と出会う。古事記や日本神話を下敷きにした美しい世界観…!1988年刊行!デビュー作ながら和製ファンタジーの傑作
荻原規子のデビュー作なんだけど、ここに荻原規子作品の良さ凝縮されてるよね…
小学校の図書館で借りた中で、上橋菜穂子の精霊の守り人と、荻原規子作品はドはまりして読みまくったわ…。
ちなみに、上橋菜穂子作品は基本的にすべて完全な異世界(ハイファンタジー)が舞台なんだけど、
荻原規子作品は結構バラエティーに富んでいるのが特徴。
あれこれ語る…長くなるので気になる人だけ読んでくれ
ファンタジーの幅の広さが荻原規子作品の魅力
「空色勾玉」「白鳥異伝」「薄紅天女」からなる勾玉シリーズは和製ファンタジーなんだけど、
他にも「西の善き魔女」は西洋ファンタジー+SF要素ありで、「これは王国のかぎ」は現代+アラビアンファンタジー、「RDG(レッドデータガール)」は現代ファンタジーと、一言でファンタジーといってもかなり手広い…!ファンタジー好きな人は、どれかひとつはハマるはず!
上橋菜穂子作品との違い
よく上橋菜穂子作品と比較される(というか名前が一緒に出ることが多い)けど、荻原規子作品のほうがボーイミーツガール感ある。少女漫画的というか、少女が主役なんだよね。少女が外の世界に飛び出して、少年と出会う…的な。なので、小学~中学時代にはドはまりしてたんだけど、大人になってからはあまり読まなくなった。
娘が今3歳なんだけど、小学生になり読書ハマるようであれば一緒に語りたい…笑。
上橋菜穂子作品は、大人になってからも楽しめるのが大きな魅力の一つだと思う。
「守り人シリーズ」は、小学生の頃は少年チャグムと一緒になってどきどきしたし、大人になってからはバルサ目線でチャグムの成長に涙するっていう。「鹿の王」にいたっては最初からおっさんが主人公だしね…笑。
Kindle Unlimited対象になってる!
この通称勾玉シリーズは「空色勾玉」「白鳥異伝」「薄紅天女」からなる三部作なんだけど、いつの間にか新装版になり、さらにKindle Unlimited 対象になってるんですね…!
もう一回読みなおそうかな…笑(Kindle Unlimitedユーザー)。
Kindle Unlimitedとは?
- Amazonが提供している電子書籍読み放題サービス
- 月額980円
- 小説、雑誌、ビジネス書、漫画など幅広いジャンルあり
近年出版された小説や漫画・話題本・各種受賞作品などは対象外になってることが多い。
勾玉シリーズは1988年刊行の名作だから対象になってるのかしら…。Kindle Unlimitedは休会もボタン一つで超簡単なので、読みたい本があったときだけ入ってあとは休会するのもあり(私もそうしてる)
\ Kindle Unlimited対象になってる~!/
十二国記シリーズ/小野不由美
国産ファンタジー小説の最高峰
いや、上橋菜穂子も国産ファンタジー最高峰なんだけど、同じジャンルで忘れてはならないのが十二国記だと思う。
上橋菜穂子作品がハイファンタジー(完全異世界)なら、十二国記はローファンタジー(現代とのつながりがある)だ。
荻原規子作品は主に小中学生の頃にドはまりしたんだけど、十二国記は中学時代にラノベ系が好きな子に勧められて読んでました。(「キノの旅」とか「ブギーポップ」とか「乙一作品」とか。←ピンときた人は同世代)
どこから読んだらいい?→【おすすめ】「魔性の子」から
十二国記を読もう!と思ってまず混乱するのが、どれから読んだら読んだらいいのか迷うこと。(あと地味にタイトルが分かりにくい…)
理由は、「十二国記」は主人公が2人いて、陽子編と泰麒編に大きく分けられるんだけど、メインストーリーとスピンオフが入り混じる構成となっている。そのため、どこに比重を置くか?で順番が変わってくるんだよね…
おすすめは「魔性の子」から。刊行順ではないんだけど、じっくり読もうとする場合、ここから読んだほうがじっくり楽しめると思う。
あとこの後説明するけど、Audible化されるのもこの順番!
- 魔性の子(1991年)
- 月の影 影の海(1992年)
- 風の海 迷宮の岸(1993年)
- 東の海神 西の滄海(1994年)
- 風の万里 黎明の空(1994年)
- 丕緒の鳥(2013年)
- 図南の翼(1996年)
- 華胥の夢(2001年)
- 黄昏の岸 暁の天(2001年)
- 白銀の墟 玄の月(2019年)
Audible化されてる~~!(現在進行形)
2025年夏、十二国記シリーズのAudible化が始まりました!
最後の白銀の墟 玄の月は2026年12月31日に配信開始になるそうです。遠い~笑。でも予定がすでに入ってるということは確実にAudible化されるということなので楽しみ…!
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注意:2025年10月現在、まだ全部配信されていないので、後半作品は一部「予約」となっています。気長に待ちましょう~


| タイトル | 月の影 影の海(上) |
| 再生時間 | 7 時間 32 分 |


| タイトル | 月の影 影の海(下) |
| 再生時間 | 6 時間 59 分 |


| タイトル | 風の海 迷宮の岸 |
| 再生時間 | 9 時間 36 分 |


| タイトル | 東の海神 西の滄海 |
| 再生時間 | 9 時間 26 分 |


| タイトル | 風の万里 黎明の空(上) |
| 再生時間 | 10 時間 14 分 |


| タイトル | 風の万里 黎明の空(下) |
| 再生時間 | 11 時間 20 分 |


| タイトル | 丕緒の鳥 |
| 再生時間 | 10 時間 8 分 |


| タイトル | 図南の翼 |
| 再生時間 | 11 時間 52 分 |


| タイトル | 黄昏の岸 暁の天 |
| 再生時間 | 13 時間 32 分 |


| タイトル | 白銀の墟 玄の月(一) |
| 再生時間 | 10 時間 53 分 |


| タイトル | 白銀の墟 玄の月(二) |
| 再生時間 | 12 時間 14 分 |


| タイトル | 白銀の墟 玄の月(三) |
| 再生時間 | 10 時間 53 分 |


| タイトル | 白銀の墟 玄の月(四) |
| 再生時間 | 12 時間 41 分 |
新世界より/貴志祐介
これ、入れようかどうか迷ったんだけど、意外とハマるんじゃないかと思って。
上橋菜穂子作品の魅力は、地に足の着いた完全異世界ファンタジー。ファンタジーだけど魔法は出てこない。
ちゃんと国があって文化があって、歴史があり、神話がある。で、神話・言い伝え・先史時代の名残、みたいな要素は、意外とSFと相性いいんじゃないかなと。
作者の貴志 祐介さんは、ファンタジー作家ではなくジャンルで言うと、SF・ミステリー・ホラー路線。
「新世界より」は第29回日本SF大賞受賞している。アニメ化もしたのでタイトル知ってる人多いかも。
どんな話?
1000年後の日本が舞台。1000年後だけど風景としてはむしろ懐かしさを感じる情景が広がる。
そこで暮らす純粋無垢な子どもたちは、念動力が使える。ストーリーが進むにつれ、先史文明の秘密を知ることになる。
みたいな話なんだけど、注連縄とか呪術みたいな古い要素と、近未来のSF要素のMIX感と、後半に明かされる驚愕の事実がめちゃくちゃ楽しい1冊(正確には上中下巻なので3冊?)。
最初は舞台設定の説明が多くてちょっととっつきにくいかもだけど、中盤~後半にかけてどんどん加速していくぞ。
Audibleとしての「新世界より」
私は本で読んじゃったので、Audible版は聞いてないんだけど、なんと!ナレーターが大森ゆきさん(守り人シリーズと同じ)なんだよね…!!ということで、クオリティに関しては何の不安もなくお勧めできる。
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