ぺんぎん村上春樹、超有名だけど読んだことないんだよね。
初心者でも読みやすいおすすめを教えて!
村上春樹とは?


村上春樹はこんな人!
- 1949年生まれの小説家・翻訳家
- 早稲田大学時代に妻と学生結婚(子どもは無し)
- 作家になる前はジャズ喫茶を営んでいた
- 明治神宮野球場で野球観戦をしているときに小説を書こうと思い立つ
- 1979年に『風の歌を聴け』でデビュー
- 『ノルウェイの森』は1000万部のベストセラー
- 精力的に翻訳業もこなしている
- エッセイ、紀行文等も多数ある
- 今年こそノーベル文学賞受賞なるか?と毎年騒がれている
村上春樹作品のここが嫌い3つ



いきなりだが、村上春樹作品のおすすめ作品を紹介する前に、嫌いな点をあげてみたい。
普段から読書をする身として「なんか合わないな~」という作家は結構いる。けど、「嫌い」と感じるのって珍しい。村上春樹は「嫌い」な部分も持ち合わせながら、つい読んでしまうよくわからない作家なのだ。
海外からの評価も高く小説家として一級ながら、反面多くのアンチがいることも結構納得できる。
- 結局何が言いたいかわからない
- 主人公の僕が気に入らない
- すぐにセックスする(それ必要?)
村上春樹作品のここが嫌い①結局何が言いたいかわからない
まずはこれ。結局何が言いたいかわからない。起承転結、ストーリーとしての面白さがわからない。
反面、文章はめちゃくちゃ巧くて、するするっと読める。一文一文の意味はちゃんとすんなり理解できる。
けど、最後まで読み切ったとき、「結局何が言いたいかわからない」となりがち。
好みもあると思うけど、翻訳された文章が好きな人は、村上春樹作品の文章も好きだろう。
翻訳された文章って、なんか独特なところあるじゃん?
村上春樹作品のここが嫌い➁主人公の僕が気に入らない
キャラクター自体に魅力がある=本を読む上でかなり重要な点だと思うが、そういう意味では村上春樹作品の魅力はあまりない。(こういう主人公が好きな人がいたらすみません)
村上春樹作品にはテンプレート的な主人公が存在する。
村上春樹作品に頻出する主人公の特徴
- 男
- 妻(or恋人)がいる
- 子どもはいない
- 何らかの事情で無職
- やけに冷静、滲み出る諦念感、受け身
- 一人称は「僕」、口癖は「やれやれ」



他、よくスパゲッティ茹でる・サラダ作る・クラシックジャズ音楽が好きもある。



よくネタにされてるよね
この男主人公が、なんか気に食わないのだ。
また、後述するがしょっちゅう女と寝る。それは妻(or恋人)であったり、そうでなかったりもする。それに対してめちゃくちゃ冷静で淡々としている。
村上春樹作品は異世界ファンタジーではないが、現実と虚構の境目がふわふわした世界観の作品も多い。
そんな中、ありえないことが頻発しても「やれやれ」で乗り切ってしまうのだ。



ただ、主人公が冷静で淡々としている意味もあると思うよ。
現実と虚構の境目がふわふわした世界の中で、主人公までそれに飲み込まれちゃうと、読者が迷子になっちゃうからさ。よくわからん世界の中で、主人公の冷静さが船のいかりのように、なんとか現実とつないでくれているというか。
でも、やっぱり気に食わない笑。
村上春樹作品のここが嫌い③すぐにセックスする(それ必要?)
私が村上春樹読んでいる理由



なんでそんなに村上春樹に不満抱いているのに、読み続けてるんだよ…



ほんとにね笑。それでも基本、既刊は基本全部読んでいるくらいには追いかけているのはなぜだろう。
村上春樹の唯一性の虜だから。村上春樹作品からでしか、得られない成分があるんだよ…。
【地雷注意!選ぶな危険】挫折する村上春樹作品は?
おすすめ作品の紹介の前に、逆に「これは読むな」作品の紹介から行きたいと思う。
地雷注意!挫折する村上春樹作品
- 『ノルウェイの森』
- 『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』(初期3部作)
【悪くないけど…】あえて最初の1冊には選ぶな、という村上春樹作品
- 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
- 『アフターダーク』
ノルウェイの森
地雷である理由
村上春樹の代表作且つ、売り上げ的にも上位になっている1冊だ。
あまりにもタイトルが有名なので、村上春樹=『ノルウェイの森』をイメージする人も多いかもしれないが、最初の1冊は地雷だと思うのでやめてほしい…!



なんで?有名じゃん!100%の恋愛小説※じゃないの?
※本書のキャッチコピー



理由は、性描写が特に多く、ストーリーも暗く(自死有)、普通に読むと「つまらない」「気持ち悪い」と感じやすいから。
ジャンルとして、恋愛小説・青春小説として紹介されることも多いが、そこだけをつまんで読もうとすると「何これ」となると思う。
ただ、「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ」
ノルウェイの森の作中で太文字で出てくるこの1文、これは彼の他の作品にも脈々と流れているもの。
それがすごく分かりやすい形で表現されているっていう点では、『ノルウェイの森』おすすめ。
でも、初めて村上春樹読みたいんだけどっていう人には、おすすめしたくない。



他にも面白いやつあるからさ!あえて地雷から行くことないじゃん!
『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』(初期3部作)
地雷である理由
ご存じ(?)村上春樹のデビュー作品がこちら。
この『風の歌を聴け』から連なる『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』で通称、初期三部作と呼ばれている。また、この続編(というか後日譚)に『ダンス・ダンス・ダンス』がある。



よく、デビュー作にはその作家の書きたいことが全部詰まっている原点って言われるけど、なんでダメなの?



理由は「なんかよくわかんない」となる可能性が高いから。
『風の歌を聴け』の冒頭を見てみよう
「完璧な文章などどいったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
僕が大学生のころ偶然に知り合ったある作家は僕に向ってそう言った。僕がその意味を理解できたのはずっと後のことだったが、少くともそれをある種の慰めとしてとることも可能であった。完璧な文章なんて存在しない、と。
今、僕は語ろうと思う。もちろん問題は何一つ解決してはいないし、語り終えた時点でもあるいは事態は全く同じということになるかもしれない、結局のところ、文章を書くことは自己療養の手段ではなく、自己療養へのささやかな試みにしか過ぎないからだ。



うん、なんかよくわかんない



一応ストーリーはあるが、全体を通して散文的でふわふわしてるんだよね…。村上春樹作品初めて読んだ場合、「結局…?」となると思う。
『羊をめぐる冒険』は物語として面白いが…
三部作の3作品目、『羊をめぐる冒険』からは作風が確立されたのか、村上春樹の雰囲気も出つつ、ストーリーとしてもかなり面白い。ただ、一応三部作で前の2作品を読んだほうが良い。
そういう意味でやっぱり、初期三部作は初心者にはおすすめできない。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年


| タイトル | 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 |
| ナレーター | 向井 理 |
| 再生時間 | 13 時間 56 分 |
鉄道の駅をつくる仕事をする多崎つくるは、ある日突然、親友だった4人から絶縁される。
理由も告げられず、心にぽっかりと空いた穴を抱えて、生と死のあわいを漂う日々を送っていた。歳上の恋人・沙羅に背中を押され、つくるは過去をたどる“巡礼の旅”に出る。
最初の1冊にはおすすめしない理由
悪くはないがあえて最初の1冊としては選ばないで欲しい!村上春樹作品です。
長編ではあるものの、1巻で完結。しかも、結構わかりやすい。分かりやすいというのは、村上春樹作品の中では出来事がちゃんと描かれているということ。



え、良さそうじゃん!なんでおすすめしないの?



わがままなことを言うと、この作品には村上春樹らしさが足りないからです!あえてここから入らなくてもいいかなっていう。
この作品は、村上春樹作品の中でもちょっと異色さを感じる。推理小説になっており、犯人捜し謎解きの要素もある。犯人は誰か?の考察記事も検索すると実際色々出てくるし。でも、あえて村上春樹で推理小説を最初に選ばなくてもいいかなと!何冊か読んだうえで、味変として読んでほしい1冊だ。
アフターダーク
最初の1冊にはおすすめしない理由
これも、1つ前にあげた『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』同様、異色の1冊。そのため、村上春樹らしさ、が薄い。あえて最初に選ばなくてもいいかなっていう作品。
村上春樹作品を語るうえで欠かせないのが、阪神淡路大震災とオウム真理教による地下鉄サリン事。
この2つの事件は、村上春樹に衝撃を与えたらしく、その後の作風にも大きく影響している。
で、このアフターダークはその転換期とも言える作品なんだよね。
村上春樹は作品を執筆するうえで、実験や新しい手法を試す、みたいなことをちょこちょこやってると感じるが、この『アフターダーク』はそんな試行錯誤を感じる。
初めて村上春樹を読む人におすすめする1冊は?
はい、ここまで「村上春樹作品が嫌いな理由」とか「地雷作品」とか、あれこれ書いてきたけど、ここからが本当に書きたかったことです!(長かった…)主人公がなんか気に食わなかったり、無駄に性描写があり気持ち悪く感じることもあるけど、村上春樹作品からしか得られない成分があります!ここからは、村上春樹作品からしか得られない唯一無二の読書体験ができる作品を熱く紹介させてください!



普段、あんまり読書しないんだよね。初心者でも読みやすいおすすめは?



読書は慣れてる!難しくてもいいから最高の1冊を教えて!



普段読書しない人には、長編『海辺のカフカ』
読書に慣れている人には、長編『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』をおすすめします!
普段、あんまり読書しない人向け
- 【長編】『海辺のカフカ』
- 【短編】『東京奇譚集』
ある程度読書慣れている人向け(=最高の1冊を選ぶなら)
- 【長編】『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
- 【短編】『回転木馬のデッドヒート』



あとは好みの問題な気がするが、
『ねじまき鳥クロニクル』
『1Q84』
恋愛系が好きなら『スプートニクの恋人』もあり!
海辺のカフカ
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『海辺のカフカ』はどんな話?あらすじ紹介
『海辺のカフカ』は15歳の少年「僕」が主人公となっている章と、知的障害のある老人「ナカタさん」の章が並行して進んでいくスタイル。
「僕」の章:15歳の少年田村カフカは、父親からかけられた呪いから逃げるため、東京→四国へと家出する。行きついたのは高松の図書館。カフカはそこで館長の佐伯さんに出会う。
「ナカタさん」の章:知的障害のあるナカタは猫と話せる特殊能力を持っている。近所の猫探しを受けるうち「猫殺し」の男を殺してしまう。東京を離れて「入口の石」を探す彼は四国へとたどりつき…
村上春樹初心者でも読みやすい理由
- 主人公が15歳の少年
- ストーリーの進みが早くて飽きない
- 村上春樹らしさも出ている
【Audible版】おすすめ村上春樹作品は?
村上春樹作品の多くはAudibleで聴ける…!しかもナレーター超豪華!
Audible一覧
| タイトル | ナレーター |
|---|---|
| 風の歌を聴け | Audible 配信無し |
| 1973年のピンボール | 岡山 天音 |
| 羊をめぐる冒険 | 染谷 将太 |
| 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド | 大森 南朋 |
| ノルウェイの森 | 妻夫木 聡 |
| ダンス・ダンス・ダンス | Audible 配信無し |
| 国境の南、太陽の西 | 宮沢 氷魚 Audible |
| ねじまき鳥クロニクル | 藤木直人 |
| スプートニクの恋人 | 宮﨑 あおい |
| 海辺のカフカ | 木村 佳乃 |
| アフターダーク | Audible 配信無し |
| 1Q84 | 杏/柄本 時生 |
| 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 | 向井 理 |
| 騎士団長殺し | 高橋 一生 |
| 街とその不確かな壁 | Audible 配信無し |
- 【長編】『騎士団長殺し』
- 【長編】『ねじまき鳥クロニクル』
【余談】本とAudibleではおすすめ作品が違う理由



さっき、『海辺のカフカ』や『東京奇譚集』がおすすめって言ってたけど?Audible版ではおすすめしないの?なんで?



はい、言ってました。さらに言うと、『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』が最高傑作と言ってました。でも、Audibleのおすすめには入れていません。
理由は、Audibleとしてはイマイチだと感じたからです。
Audible版が良いというのはつまるところ、
- ナレーターと作品の相性が良く雰囲気があっている
- ナレーターのクオリティ(解釈)が素晴らしい
ということ。
Audibleは原作小説を最初から最後まで忠実に朗読するので、アニメ化や映画化よりは、「原作のイメージと違うじゃん」となりにくいけど、それでも、間に第三者(ナレーター)が入ることにより、良くなることもあれば悪くなることもある。



先に挙げた、「本だったらおすすめ」した作品は、Audibleとしてはイマイチだと感じるんだよね…原作の魅力とAudibleの魅力は別ってことだ。



ふーん、具体的にはどんなところが?
Audible版がイマイチな作品とその理由
※あくまで個人の感想です
『海辺のカフカ』
- ナレーターは木村佳乃さん。
- 悪くはない…悪くはないんだけど朗読が一定すぎる。
- 演じ分けが今一つだと感じる。
- 全体的に強い。本作品のイメージ的にもう少しやわらかい感じが良かった
『東京奇譚集』
- ナレーターはイッセー 尾形さん
- 癖が強い…!笑。
- 村上春樹作品の多くの主人公20-30代男性のイメージからは逸れている
『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』
- ナレーターは大森 南朋さん
- 単純に力量不足を感じる(上から目線ですみません)
- 最高傑作なので、期待値が上がりすぎていたかも…



逆に、Audible版でおすすめしている作品は、原作の雰囲気をちゃんと継承しつつ、ナレーターのクオリティが高くて、原作との相乗効果ですごいことになっている作品ってこと!












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