2026年映画化!「汝、星のごとく」が凪良ゆうの最高傑作だと思う理由【あらすじ・感想・ネタバレ】

凪良ゆうにドはまりしている。
最初「美しい彼」の面白さに衝撃を受けて(詳しくはこちらの記事)、そこから歴代のBL・一般文芸作品読み漁っています(全作まとめ&おすすめ小説紹介はこちらの記事で)。
「汝、星のごとく」は最高傑作です…!めちゃくちゃ面白かった…!凪良ゆうの魅力が一番出ていると思う。

うさぎ

「汝、星のごとく」って最近文庫版でて、2026年には映画化もされるよね。一言でいうとどんな話なの?

もにか

ラベルを付けるなら、瀬戸内海を舞台にした男女の切ないラブストーリー、なんだけど、こんなラベルじゃ到底収まらない…!
あと、Audible版も最高なので、これから読んでみようかな~っていう人はAudible版から入るのもいいと思う!


ということで、この記事では、「汝、星のごとく」が最高傑作である理由を熱く語りたい。(単に語りたいだけ)前半はネタバレ無し・後半はネタバレ全開になっています。ネタバレされたからと言って魅力が薄れる話でもないんだけど、気にする人は気を付けてね!

タイトル汝、星のごとく)
作者凪良ゆう
発売日2022年8月講談社
2025年7月講談社

あなたと生きる、その痛みごと。同じ空の下であの星を見上げよう。そして、また出会おう。あまりに切ない運命を、繊細な心理描写で描いた著者最高傑作。風光明媚な瀬戸内の島で育った暁海(あきみ)と母の恋愛に振り回され転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人が恋に落ちるのに時間はかからなかった。ときにすれ違い、ぶつかり、成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けた著者がおくる、あまりに切ない愛の物語【2023年本屋大賞受賞作】

「汝、星のごとく」関連トピックスあれこれ

Audible版がめっちゃ豪華…!

ところでこの「汝、星のごとく」はAudible化されておりまして、そっちもめちゃくちゃ出来が良いんです…!原作では、暁海(あきみ)と櫂(かい)、二人の視点から物語が語られますが、朗読も男女2人が担当しています。没入感がすごい。

ナレーター柚木 尚子/志村 倫生
再生時間12 時間 8 分

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うさぎ

本屋大賞など人気の本はAudibleでも力入れて制作されている印象あるね。続編の「星を編む」はAudible化されてないんだけどされないかなぁ…

文庫版が2025年に出ました!

2025年に文庫版でました!文庫派なので嬉しい~!初版では表紙が金押しなのと、しおりが付いています!

文庫本派なので出るの待ってた~~!しおりかわいい。

2026年映画化!

画像引用:https://eiga.com/news/20250703/2/

横浜流星(青埜櫂)と広瀬すず(井上暁海)主演で、2026年に映画化決まっています!
監督は藤井道人。

うさぎ

この二人って…

もにか

そう…!「流浪の月」の二人でもあるんだよね…。「流浪の月」は同じく凪良ゆうの小説で、こちらも本屋大賞とっています!
特に好き嫌いないんだけど(あ、でも「国宝」の横浜流星はすごく良かった)私の中では「流浪の月」のイメージで固定しちゃってるからなぁ…それがどう印象変わるのか楽しみではある。
あと、「汝、星のごとく」は17歳から34歳までの長い年月かけた話なので、それを実写でどう表現するのかも楽しみ。(続編の「星を編む」の要素を入れるとさらにその先もある)

目次

凪良ゆう最高傑作!「汝、星のごとく」の魅力

凪良ゆうにドはまりしてから、BL・一般文芸問わず読み漁ってるんだけど(進捗はこちら)「汝、星のごとく」は最高傑作だと思うんだよね…。
凪良ゆうに求めている成分が、ぎゅぎゅーっと凝縮されている。

  • 魅力➀「切ない」にはおさまらない「痛い」ストーリー
  • 魅力➁17歳から34歳までの17年という長いスパンで語られる重さとリアルさ
  • 魅力③心の機微を存分に味わえる文章の美しさ

それぞれ詳しく語りたい。

「汝、星のごとく」の登場人物

  • 井上暁海…主人公。瀬戸内海の島で生まれ育つ。母親と二人暮らし。父親は浮気中で家にはいない。
  • 暁海の母親…旦那を浮気相手にとられ精神不安定。専業主婦で、経済的に自立していない。
  • 暁海の父親…林瞳子と浮気しており、自宅には帰らない。
  • 林瞳子…暁海の父親の浮気相手。オートクチュール刺繍作家。刺繍教室も営んでいる。自立した女性。
  • 青埜櫂…もう一人の主人公。母親について京都から島に引っ越ししてきた。プロの漫画の原作者になりたい。
  • 青埜ほのか…櫂の母親。男に依存している。
  • 久住尚人…漫画の作画担当。櫂の2つ年上でゲイ。繊細な性格。
  • 安藤圭…尚人の恋人で、尚人と同じくゲイ。
  • 植木…編集者。櫂と尚人の漫画の連載枠を獲得しようと奮闘。
  • 二階堂絵里…老舗出版社の文芸編集者。妻子持ちの担当作家と不倫関係にある。櫂に小説を書くように依頼する。
  • 北原先生…櫂と暁海の高校の化学の先生。島で唯一のシングルファーザー。
  • 北原結…北原先生の娘。
  • 明日見菜々…結の母親。

【完全ネタバレ】「汝、星のごとく」のあらすじ

プロローグ

  • 暁海は島で暮らしている。わたしの夫=北原先生である。
  • 夫は月に一度、恋人に行く。暁海はそれを許しており、娘の結も知っている(=妻公認の浮気)

第一章 潮騒

17歳…櫂視点

  • 1年前、櫂(かい)は母親と一緒に京都から島に転校してきた。
  • 母は恋多きシングルマザーで、この島にも男を追いかけてきた。櫂は半ば呆れながらもそれに付き合っている。
  • 母は島ではスナックを経営している。
  • 櫂は東京在住の尚人と漫画を作っている。櫂がストーリーを作り、尚人が絵を担当する。高校を卒業したら櫂は東京に行く予定。

17歳…暁海視点

  • 暁海は島で母親と暮らしている。父親は2年前から浮気しており、浮気相手の女性の家で暮らしている。家には帰ってこない。
  • 浮気していることは島中が知っており、居心地が悪い。母は精神的に不安定。
  • ある日、父親の様子を見てきてほしいと母に頼まれる。偶然漁港で出会った櫂と一緒に、浮気相手の家に行く。
  • 浮気相手の瞳子さんは、暁海の母親とは全く違う系統の人。刺繍教室を営んでおり、経済的にも自立している。
  • 暁海はオートクチュール刺繍を独学ながら始める。
  • 櫂と暁海は「同じ群れの仲間」としてお互いに惹かれて、付き合う。
  • 高校3年、進学先を決める時期。櫂は東京へ行く。暁海も東京に出たかったが、母親は反対する。
  • 暁海は父親と瞳子に相談しに行く。父親は暗に島に残って母親の傍にいてほしいと言うが、瞳子は暁海の好きにしていい、援助もすると言い切る。名シーン➀

17歳…櫂視点

  • 櫂は尚人と共同で漫画を作っているが、もう一人戦友がいる。担当者の植木は編集者3年目で櫂と尚人と一緒に、雑誌の連載枠を勝ち取ろうと奮闘してくれる。そして、来年4月から雑誌での連載が決まった。
  • 暁海の母親が突然いなくなる。浮気相手の瞳子に復讐しに行ったのだ。暁海と櫂は瞳子の家にガソリンをかけている母親を止める。修羅場になる。名シーン②
  • 北原先生は高校教師、この島唯一のシングルファザーで娘の結がいる。漂漂とした変わり者で、修羅場をおさめる手助けをしてくれる。
  • 修羅場を目撃した暁海は、母親を見捨てることができず、島に残る決意をする。櫂は暁海についてきてほしいが諦める。二人は離れても付き合い続けることを約束する。

第二章 波蝕

19歳

  • 櫂は東京の高円寺で一人暮らししている。漫画の連載は続いているもののいつ打ち切りになるかわからない綱渡り。
  • 暁海は島に残り、高校卒業後は今治の会社員になる。暁海は時々、櫂に会いに来る。
  • 暁海が就職した会社は、旧態依然で男尊女卑・古い制度に異を唱える人もいない。女というだけで努力しても給料は増えない。
  • 島の価値観「東京で漫画家になった櫂=すごい」
  • 暁海は周囲から、櫂の恋人として見られるようになるが、自分の価値がそこにしか無いように感じる。
  • 櫂の前では、理解のある彼女を演じる。

22歳

  • 櫂は徐々に東京の空気に染まる。暁海と遠距離で付き合い続けてはいるが、内緒で他の女とも寝るようになる。
  • 漫画の連載は順調で、徐々に金遣いが荒くなる。櫂の母親も、櫂に金を無心するようになる。
  • 櫂はお盆休みに、島に帰り暁海と会うが、価値観の違いに違和感を覚える。こんなつまらない女だったか?
  • しかし付き合って5年、櫂は暁海に責任がある。(島では暁海が櫂と付き合っていることは全員が知っている。この後別れてもそれが付きまとう)
  • 櫂は暁海に衝動的にプロポーズを持ちかけるものの、暁海はそれを笑って断る。櫂はほっとする。

25歳…暁海視点

  • 2人の距離はどんどん広がっていく。
  • 櫂は東京でマンションを購入する。金遣いがどんどん荒くなり、浮気もひどくなる。
  • 暁海は島で変わらず会社員。刺繍アクセサリーの委託を瞳子経由でもらう。報酬は雀の涙だが。
  • 暁海は櫂に会いに東京に来る。櫂の金遣いの荒さを窘めて喧嘩になる。浮気にも気が付いているが、別れるのが怖くて何も言い出せない。
  • 島で花火大会がある日、櫂が連絡もなく暁海に会いに来る。舐められていると感じる暁海。
  • 自分たちの関係は収穫されなかった果物がゆっくり腐っていくだけ。暁海はついに自分から櫂に別れを告げる。名シーン③

25歳…櫂視点

  • 櫂は暁海=すでに嫁と同等とすら思っていた。甘えもあった。自分の帰る場所=暁海の認識はあった。
  • 漫画はアニメの二期が決まり、映画化の話も出ている。それに伴い仕事の忙しさに拍車がかかる。暁海のことをついおざなりにしてしまっていた。
  • 別れを告げられても本気にはとらず「少し冷却期間が必要」くらいに思っていた。
  • 盆休みが終わり、秋になっても暁海からは連絡がこない。櫂は仕事に忙殺される。
  • そんな中、尚人が未成年へいたずらした、ことが報道される。
  • 尚人はゲイで恋人の圭と旅行に行った際、まだ圭は未成年だった。
  • 騒ぎはすぐに収まるかと思いきや、週刊誌で記事が報道されるとメディアでも取り上げられて、事件はどんどん大きくなる。
  • 連載は打ち切りになり、漫画は絶版。映画化の話も無くなった。
  • 尚人は繊細な性格で、今回の事件でショックを受ける。
  • 植木は櫂に、櫂がその気なら別の相方を紹介すると打診するが、櫂は断る。
  • 二階堂という女性編集者が櫂に接触をはかる。二階堂は文芸の編集者で、櫂に小説を書いてほしいと依頼する。
  • 尚人の報道事件で仕事が一気になくなった櫂は、二階堂と近づいていく。

第三章 海淵

26歳

  • 暁海は櫂と別れてからも島にいる。島での居心地は悪いがしかし、ここ以外に生きていく術を持たない。
  • 暁海の母は暁海が櫂と別れたことを知り、宗教にハマり、お金を使い込む。また、事故を起こしそこでもお金が必要になる。
  • 300万円が必要になった暁海は、最後の手段として櫂に金を借りに東京に行く。
  • 櫂に会い頭を下げる。櫂は事情を聞かず、すぐに金を振り込んでくれる。
  • 帰りのバスの中で、暁海は事件報道をニュースで知る。
  • 櫂が大変な時に、金を無心した。自分の情けなさに泣き、この300万は何があっても返すことを決意する。

28歳

  • 暁海は毎月、3万5000円を櫂の口座に振り込む。
  • 櫂は毎月その日、通帳に記入し、暁海とつながっていることを確認する。借金返済まであと5年。
  • 櫂はくすぶり続けている。一度新人漫画家とタッグを組んでWEB連載もしたが評判は散々だった。
  • しかし、櫂は尚人を見捨てられないし、暁海を忘れられないし、母親を切り捨てられない。
  • 暁海は、島で母親を背負って死に物狂いで生きていくと決めた。瞳子から仕事をもらい、刺繍作家としても収入を伸ばしている。
  • 暁海を心配した北原先生は暁海に「互助会として足りない者同士、僕と結婚しませんか」と持ちかける。

30歳

  • 暁海は北原先生と結婚する。名シーン④
  • 櫂は東京でくすぶり続けている。母親に何度も金を無心され、貯金はすでに底をつき、バイトで生計を立てている。
  • 母親から暁海が結婚する話を聞き、いざというときのためにとっておいた最後の10万円を結婚祝いに送り付ける。
  • 家賃も払えない状態なので、女の家に転がり込んでいるが、ついにそこも追い出される。

31歳

  • 櫂は突然倒れ、胃がんであることが発覚。
  • 知らせを受けた尚人は櫂に家を提供する。
  • 櫂は「井上暁海」でネット検索すると、刺繍作家としてインタビューを受けた記事を見つける。
  • 尚人も「安藤圭」で検索し、彼も海外で元気に生きていることを確認する。
  • その翌日、尚人は自殺する。名シーン⑤

32

  • 暁海は、櫂が癌を患っていることを、櫂の母親から聞く。
  • 暁海は、櫂に会いに東京に行くことを決意する。

第四章 海淵

32歳

  • 再会した暁海と櫂。暁海は高円寺にアパートを借り、そこで櫂と暮らす。
  • 暁海は刺繍の仕事をして、櫂は小説を執筆する。高校時代の風景。
  • 櫂の病状は芳しくなく、抗がん剤治療をするも余命は数カ月と告げられる。
  • 櫂は島の花火大会を見たいと言い、二人は島に帰る。
  • 北原先生の力を借りつつ、櫂と暁海は花火を見る。櫂はそこで亡くなる。

エピローグ

34歳

  • 櫂が亡くなってから2年。暁海は島で北原先生と暮らしている。
  • 暁海のもとに、二階堂から一冊の本が届く。「汝、星のごとく」それは櫂が執筆した小説だった。

「汝、星のごとく」で好きなシーン!

➀第一章…暁海と瞳子と会話するシーン

東京への進学を父親と瞳子に相談しにいく暁海。瞳子との会話好き。暁海にとってもこの後の人生で大きな転換点となる。

「暁海ちゃんは好きに生きていいの」
「そんなの自分勝手です。許されない」
「誰が許さないの?」
間髪いれず問い返されて答えに詰まった。
「自分の人生を自分勝手に生きることを、他の誰かに許されたの?」
島のみんな、世間の目。でもその人たちに許されたとして、わたしは一体――。
「誰かに遠慮して大事なことを諦めたら、あとで後悔するかもしれない。そのとき、その誰かのせいにしてしまうかもしれない。でも私の経験からすると、誰のせいにしても納得できないし救われないの。誰もあなたの人生の責任を取ってくれない
瞳子さんの言葉は真っ直ぐにわたしの胸を貫いた。
「わたしは仕事をしていて、それなりに蓄えもある。もちろんお金で買えないものはある。でもお金があるから自由でいられることもある。たとえば誰かに依存しなくていい。いやいや誰かに従わなくていい。それはすごく大事なことだと思う
まさしく今、わたしはお金に将来を左右されようとしている。
母さんがお父さんに執着するのは、経済的な問題もあるとわかっている。
「暁海ちゃんの学費はわたしたちが出す。それでいいわよね?」

もにか

いや~胸に刺さるというか。暁海が作中で、この瞳子の言葉を、社会人になって自分で金を稼ぐようになってから思い出したように、これは大人にこそ響くよね‥‥。

➁第一章…修羅場になったところで、櫂が瞳子と会話するシーン

精神的におかしくなった暁海の母は、浮気相手の瞳子の家に押しかけ、修羅場になる。
櫂は瞳子に、一晩くらい暁海の父を、暁海の母の元に返してやってくれよ(こうなってるのもあんたのせいなんだから)と問いかける。

「樫くん、介錯って知ってる?」
「え、あ、切腹?」
「瞳子さんはうなずいた。
「お腹を切るだけじゃ死なないから、苦痛を長引かせないために首を落とす。武士の情けってやつ。わたしも奥さんももう腹は切ってる。あとは男がとどめを刺すだけ。そこで男が怖がって逃げたら、死にきれずに女がのたうち回ることになるじゃない

<中略>
「瞳子さんの言ってるのは正論やん。いっつも正しい強い人間なんかおらんよ。あかんってわかっててもそう行ってまうことがあるやん。人間はそない単純やない
「きみのそれは優しさじゃない。弱さよ」
一刀で斬り落とされた。
「いざという覚悟は誰に罵られようが切り捨てる。もしくは誰に恨まれようが手に入れる。そういう覚悟がないと、人生はどんどん複雑になっていくわよ」

もにか

いや~ここの瞳子の一連の台詞、好きなんですよね。
彼女の強さと、逆に櫂の優しさ(弱さ)が浮き彫りになっている。そして、全編を読んだ後で思うと、この櫂の優しさが、瞳子の言う通り彼の人生を複雑にしてしまうっていう。

櫂は母親を最後まで見捨てられない。そして、尚人のことも切り捨てられない。頭では、どちらも切り捨てて、自分だけ先にいったほうが良いとわかっているかもしれないけど、彼がここで言っている通り「あかんってわかっててもそう行ってまう」んだよなぁ…。でもそれが櫂の魅力でもある。

③第二章…二人の距離が遠くなる。別れを切り出せない暁海のモノローグ

櫂が好きで、一緒にいたくて、でもいつからか櫂への気持ちの根底に、愛情とは別のものが混じりだしたんじゃないだろうか。島やお母さんから自由になりたくて、そのパスポートのように櫂との結婚を望んでいたんじゃないだろうか。現実ってそんなもんでしょうと、もうひとりのわたしが囁きかけてくる。

打算ごと引っくるめて櫂を愛していると開き直ればいい。そしてわたしをここから連れ出して縋りつけばいい。もうひとりで社会と戦いたくないのだと。
仕事なんてしたくない。
月末にお金の心配をしたくない。
将来が不安で眠れない夜を過ごしたくない。
稼ぎのある男と結婚したい。
専業主婦になりたい。
子供を産んで夫の庇護の下で一生安泰に暮らしていたい。

もにか

最初は純粋に「好き」の感情だけだったけど、そこにいつしか別なものも混じってくる。結婚を考えた時、社会に出て働いて辛いと思った時、隣の芝生は青く見えた時、他人と比較したとき、この感情の流れは(特に女性なら)めちゃくちゃ共感できると思う。

④第三章…北原先生と結婚することを、櫂に知られることについて

暁海が櫂の母親と会い、北原先生結婚することを報告。櫂の母親が、櫂にも伝えておくわ、という言葉を聞いて。

わたしにとって、愛はやさしい形をしていない。どうか元気でいて、幸せでいて、
わたし以外を愛さないで、私を忘れないで。愛と呪いと祈りは似ている。

もにか

私が凪良ゆうに求めている成分を一文で表してくれている…!!!!
この矛盾したごちゃごちゃした感情の渦…!この成分を摂取したくて、凪良作品食べてる。

⑤第三章…尚人がXXするシーン

ここら辺、一体の流れと描写がすごい。櫂と尚人はそれぞれ昔の恋人の現在の様子を知り、
これから漫画書こうよ!と盛り上がっている。ここから盛り返すか?と思いきや、尚人は自殺する。
一見矛盾しているように見えるが、すごく納得感のある流れだった。それを現したのがこの一文。

ぎりぎりグラスの縁でもちこたえていたものを、俺が余計なものをそそいであふれさせたのだ。
決壊寸前の心には、それが夢や希望という美しいものであっても負担なのだ。

もにか

凪良ゆう、天才か…?

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (1件)

  • […] 私が凪良ゆう作品に求めているのは、普通の枠組みからはみ出した2人のどうしようもないぐちゃぐちゃした感情。これを味わいたくて読んでるのですが、「汝、星のごとく」はその最高峰。胸が切なくなる、を通り越して、胸をナイフで刺されて、グリグリ抉られ致死量の血を吐きながら読み終える、みたいな本です…。「泣ける」とか「切ないラブストーリー」というラベルでは全くおさまらない。おさまらないよ…という熱い思いをまとめた記事はこちらです。 […]

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